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【活動報告】エスビック工場見学

一般社団法人首都圏エクステリア協会(以下MEX)では、エクステリア工事に関する専門知識を有する会員とともに、ブロック塀診断士会をはじめ、国や地方行政との連携を図りながら、地域の安心と安全のために啓発活動を行っています。その一環として、建材メーカーの工場見学などを定期的に実施し、商品知識を高める機会としています。

今回は、群馬県高崎市に工場を構えるコンクリートブロックメーカー、エスビック株式会社を訪問しました。エスビックは国内に7か所の工場を持ち、そのうち高崎市内にある綿貫工場と高崎工場(OLB工場)の2か所を見学しました。

午前10時、高崎市の綿貫工場に集合。ここでは主にリブブロックなどの化粧ブロックやインターロッキング(一部)が製造されています。

集合したMEXメンバーは、まず事務所2階の会議室へ。建物はブロックメーカーらしく建築用コンクリートブロック造。戦後の復興期に建築用コンクリートブロックの製造を目的として「新日本ブロック研究所」が創立され、その後エスビック株式会社となった経緯を思うと、その伝統が今も受け継がれていることを実感しました。
ここで当日のスケジュールや注意事項について説明を受けました。終日ご案内いただいたのは、エスビックの田崎さん、上原さん、新入社員のお二人。
綿貫工場では現場のご担当者3名が丁寧に説明してくださいました。
ヘルメットを着用し、いよいよ工場内へ。普段は立ち入れない現場に足を踏み入れると、参加者の表情も自然と引き締まります。

倉庫内にはスマートC、ウルトラC、タフト、タフDなどのリブブロック系化粧ブロックが整然と積み上げられています。これらは出荷前の検査待ちで、サンプリングによる圧縮強度試験などが行われていました。積み上げられたブロックの光景は迫力があり、思わず圧倒されるほどでした。
化粧ブロック「ウルトラC」の金型。半円状の型は成形時に横方向へ引き抜かれる仕組み。
化粧ブロック「ウルトラC」の金型。半円状の型は成形時に横方向へ引き抜かれる仕組み。
品質検査室。欠けや異物混入の有無、圧縮強度試験などを実施。
骨材ヤード。砕石などのコンクリートブロック原料が集積。
生産ライン。原料に強い圧力をかけて成形する様子は迫力満点。
成形・検査を終えた製品は包装され、出荷を待つ。
綿貫工場で化粧ブロックとインターロッキング(ロシェ・ヴィンテージのタンブル加工品)の製造工程を見学した後、本社へ立ち寄りました。
玄関ホールに設置されたブロック造のモニュメント(能勢孝二郎氏製作)。竹の切り口を模した「そぎ」や亀甲模様が彫られ、袖壁には沖縄伝統の魔除け「屏風(ひんぶん)」が表現されている。(関連記事:「エスビック本社社屋に能勢孝二郎氏のモニュメントが完成」
C種ブロックに「SBIC」と彫刻されています。

能勢孝二郎氏は、沖縄在住の彫刻家。沖縄県立博物館・美術館の中庭、沖縄平和祈念堂の前に立つモニュメント、南城市文化センター・シュガーホールなど、沖縄県内の各所に作品が飾られており、近年はコンクリートブロックを素材とした作品を多数発表しています。
その後、綿貫工場から高崎工場(OLB工場)へ移動。ここでは主にインターロッキングやレコムシステムを製造しており、高崎営業所と物流センターも併設され、同社の重要な拠点となっています。
まず営業所内に入り、昼食などを済ませた後、工場見学を再開。
高崎工場・OLB工場のスタッフの方々が案内してくださいました。
今回の参加者で記念撮影。
高崎工場内にある物流センター。ピーク時にはユニック車が多数集まり、製品を積み込んで関東一円へ配送。
高崎工場内にある物流センター。ピーク時にはユニック車が多数集まり、製品を積み込んで関東一円へ配送。
包装されたインターロッキング製品。
枡蓋用にスライス加工されたインターロッキング。加工工程の難しさも紹介された。
セメントサイロ群。通常のセメントとリサイクル材を利用した「エコセメント」を使い分けている。
養生設備。成形後の製品を硬化させ、約7日で実用強度に達する。
ショットブラスト加工。ステンレスの微細な粒を吹き付け、独特の質感を表現。サンプルと照合しながら仕上げる。
ショットブラスト加工。ステンレスの微細な粒を吹き付け、独特の質感を表現。サンプルと照合しながら仕上げる。
高崎展示場。今年の新商品(リネア・ウォール、ベネチアなど)が展示されていた。
品質管理室。色調や圧縮強度、吸水率などの試験が行われている。
セメントサイロへレコムシステムの原料を補充しているところ。
レコムシステムの金型。大型の空洞を持つ擁壁用ブロック独特の形状が見られた。
コンクリートブロックやインターロッキングの製造は、骨材・セメント・顔料・水を混和した材料を型枠に流し込み、高振動と加圧で成形する方式です。事前のイメージでは「型に流し込み、硬化させて取り出す」程度でしたが、実際は非常にスピーディー。見学したマシンでは、わずか約8秒で複数個のブロックが成形されていました。その後、養生・加工・検査を経て、出荷となります。

エスビックでは環境負荷低減にも積極的に取り組んでおり、製造工程におけるCO?排出量を一般的なセメント製品に比べて50〜62%削減(2023年実績)しているとのことでした。(関連記事:「エスビックのカーボンニュートラル2025」
高崎物流センターの全景。ピーク時には4〜7t車で一杯になるという。
高崎物流センターの全景。ピーク時には4〜7t車で一杯になるという。
こちらも担当の方の案内で回っていきます。
コンクリートブロックやインターロッキング置場。新商品のベネチアも見られた。
ピンコロや乱形などの輸入石材のストックヤード。
玉砂利「バラストM」。近年は木製パレットに加え、樹脂製パレットも導入されている。
物流センターの見学後は管理棟へ戻り、座学の時間。ブロック製造工程やエスビック社の沿革、コンクリートブロックの基礎知識について映像で学び、一日の内容を振り返りました。

午後4時30分、高崎支店にて解散。参加者からは「製造の流れがよく分かった」「現場の臨場感を味わえて勉強になった」といった声が多く寄せられ、充実した見学会となりました。
今回の工場見学を通じて、製品が生まれ、品質を確保され、現場へ届けられるまでの一連の流れを実際に学ぶことができました。ご協力いただいたエスビック株式会社様に、心より御礼申し上げます。